せぴあ色したおもちゃ

Jack in the BOX

 

              かげぼうし 詩的・私的考察  そよ風の贈り物 
 くもの巣の虜  あかね色の郵便箱
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いらっしゃいませ!!どうぞ、ゆっくりご賞味いただけたら幸いです
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☆満腹なおおかみ☆

萌え出ずる若葉の頃、

1匹の灰色狼が

池のほとりに佇んでおりました。

なんということもなく、お腹いっぱいで、

ひらひらと舞い落ちる華筏が造る波紋を

ぼんやりと眺め、いつの間にか、

うつらうつらとしているようです。

フワ〜と大きなあくびを一発、

すると 杉花粉を一杯吸い込んでしまったようで

盛大なくしゃみが出てしまいました。

『バ、クッショ〜ン、
て〜い、こんチックショ〜ン』

寄りかかっていた樫の樹の枝葉に
竜巻のような大風となって、

鼻水まじりのくしゃみが襲いかかっていきました。

その枝の葉影では、

春の蜜集めに忙しい

働きアリさんが隊列をつくって、

巣穴に戻っていく途中だったようです。

ほとんど台風18号以上の

暴風雨化したくしゃみは

小さな蟻にはひとたまりもなく、

吹き飛ばされていきました。

狼はそんなことも
露知らずに、

まだまだ夢心地、

呑気においしい果物を
おなか いっぱい食べている
夢を見ておりました。

ふわりと飛んできた蝶には、

ふわっと、

りんごの香りがしたようで

狼の鼻の上に

ひらりと止まって

触覚を延ばそうかと
考えていた所、

パチっと

見開いたつぶらな瞳に

ビックリして、

またどこかへ ふわりと

飛んでいってしました。

大きく伸びをして、ふと池を見ると、

必死にもがいているアリの坊やが1匹、

いくら蟻でも浮かんでいる華筏では

ボートにするには小さすぎるようです。

そこで

いたって気の好い狼君は

足下に生えているクマザサで

笹のおふねを

一艘造って

おいけに

うかべてやりました。

えぇ、アリの坊やが

溺れているのは

自分のくしゃみのせいだ

なんて知る由もない狼君は

またひとつ良いことをしたと

胸が一杯になったのでした。

どうしてこんなに満ち足りているのだろうと

不思議に思いながら、かけ声一発

『ヨッコラ、ドラドラ、ドッコイショ、とぅ』で

立ち上がり、春の森へと散策に出かけることにしました。

緑に透ける葉かげ、

ユラユラと霞み立つ陽射しを

たっぷりと受け、

赤や黄色の花々も

なんだかとっても楽しそう。

狼君もルンルンと草笛を吹き吹き、

行進します。

おや、あそこで泣いている娘ラム、発見。

『メェ、メェ、おうちがわからない』

子供の手を離すなんて、どうしようもない親だねぇ。

しめしめ、喰っちまおうと思うのが
世の常でありながら、

その時、どうにも狼君、お腹がいっぱいでして、

手を引いて、迷子の小ラムちゃんを

犬のおまわりさんの所まで連れて行ったようです。

おまわりさんがその後、さんざん苦労して
ラムちゃんのおうちを探し出すのは
また別のお話ということで

ここでは、敬礼一発、ありがとうの
コーラスに送り出されて、

幸せいっぱいの狼君、
今度はノッパラにやってきました。

のんびりと風が渡っていくのを

全身で感じながら、

蒼い空に

ぽっかり浮かぶ白い雲を

眺めていくうちに

また、コックリ、コックリ、

夢は
山野を駆け巡っていきました。

これは、夢か、うつつか、幻か・・・

灰色狼が徒党を組んで、罵詈雑言を浴びせながら、

火炎瓶を投げている。

バリケードを築き、籠っていく、怒り。

せっかく綺麗に敷き詰めたレンガの路は

妬みと言うお題目の為に

踏みにじられて、無惨に引き剥がされていく。

赤色狼はボスが怖くて、はけ口を他所に求める。

白き狼も自分が殺される前にぶっつぶしてしまえと吠えたて

黄色狼は神の御名を叫びながら、自滅していく。

ガリガリ狼は、何故か、高波に攫われて沈んでいく。

縦縞狼は文化風呂敷きを広げ、花見の真最中

ヨコシマ狼は たいはいを飲み干し、カラオケをがなっている。

穏やかな春の日が
いつの間にか翳り、

菜の花畑に

朧月夜が

浮かんで参りました。

影灯籠が映し出す絵巻が

クルクルと

走馬灯のようにまわり、

謳い出す。

狼君の閉じた瞼から、

ツツツゥーと涙が一粒

ほろりと 

あふれてきました。

なにが正しいかなんて
わかりやしない

それでもヤッパリ、

お腹が一杯なのでした。

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