せぴあ色したおもちゃ箱 |
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Jack in the BOX
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いらっしゃいませ!!どうぞ、ゆっくりご賞味いただけたら幸いです
著作権は放棄していません。文章以外の挿絵 壁紙は素材サイト様のものです
萌え出ずる若葉の頃、 1匹の灰色狼が 池のほとりに佇んでおりました。 なんということもなく、お腹いっぱいで、 ひらひらと舞い落ちる華筏が造る波紋を ぼんやりと眺め、いつの間にか、 うつらうつらとしているようです。 |
フワ〜と大きなあくびを一発、 すると 杉花粉を一杯吸い込んでしまったようで 盛大なくしゃみが出てしまいました。 『バ、クッショ〜ン、 寄りかかっていた樫の樹の枝葉に 鼻水まじりのくしゃみが襲いかかっていきました。 |
その枝の葉影では、 春の蜜集めに忙しい 働きアリさんが隊列をつくって、 巣穴に戻っていく途中だったようです。 ほとんど台風18号以上の 暴風雨化したくしゃみは 小さな蟻にはひとたまりもなく、 吹き飛ばされていきました。 |
狼はそんなことも まだまだ夢心地、 呑気においしい果物を ふわりと飛んできた蝶には、 ふわっと、 りんごの香りがしたようで 狼の鼻の上に ひらりと止まって 触覚を延ばそうかと パチっと 見開いたつぶらな瞳に ビックリして、 またどこかへ ふわりと 飛んでいってしました。 |
大きく伸びをして、ふと池を見ると、
必死にもがいているアリの坊やが1匹、
いくら蟻でも浮かんでいる華筏では
ボートにするには小さすぎるようです。
そこで いたって気の好い狼君は 足下に生えているクマザサで 笹のおふねを 一艘造って おいけに うかべてやりました。 えぇ、アリの坊やが 溺れているのは 自分のくしゃみのせいだ なんて知る由もない狼君は またひとつ良いことをしたと 胸が一杯になったのでした。 |
どうしてこんなに満ち足りているのだろうと
不思議に思いながら、かけ声一発
『ヨッコラ、ドラドラ、ドッコイショ、とぅ』で
立ち上がり、春の森へと散策に出かけることにしました。
緑に透ける葉かげ、 ユラユラと霞み立つ陽射しを たっぷりと受け、 赤や黄色の花々も なんだかとっても楽しそう。 狼君もルンルンと草笛を吹き吹き、 行進します。 |
おや、あそこで泣いている娘ラム、発見。
『メェ、メェ、おうちがわからない』
子供の手を離すなんて、どうしようもない親だねぇ。
しめしめ、喰っちまおうと思うのが その時、どうにも狼君、お腹がいっぱいでして、 手を引いて、迷子の小ラムちゃんを 犬のおまわりさんの所まで連れて行ったようです。 おまわりさんがその後、さんざん苦労して ここでは、敬礼一発、ありがとうの 幸せいっぱいの狼君、 |
のんびりと風が渡っていくのを 全身で感じながら、 蒼い空に ぽっかり浮かぶ白い雲を 眺めていくうちに また、コックリ、コックリ、 夢は |
これは、夢か、うつつか、幻か・・・
灰色狼が徒党を組んで、罵詈雑言を浴びせながら、
火炎瓶を投げている。
バリケードを築き、籠っていく、怒り。
せっかく綺麗に敷き詰めたレンガの路は
妬みと言うお題目の為に
踏みにじられて、無惨に引き剥がされていく。
赤色狼はボスが怖くて、はけ口を他所に求める。
白き狼も自分が殺される前にぶっつぶしてしまえと吠えたて
黄色狼は神の御名を叫びながら、自滅していく。
ガリガリ狼は、何故か、高波に攫われて沈んでいく。
縦縞狼は文化風呂敷きを広げ、花見の真最中
ヨコシマ狼は たいはいを飲み干し、カラオケをがなっている。
穏やかな春の日が 菜の花畑に 朧月夜が 浮かんで参りました。 影灯籠が映し出す絵巻が クルクルと 走馬灯のようにまわり、 謳い出す。 狼君の閉じた瞼から、 ツツツゥーと涙が一粒 ほろりと あふれてきました。 なにが正しいかなんて それでもヤッパリ、 お腹が一杯なのでした。 |
ようこそ いらっしゃいませ!!
こちらは管理及び著作権主張者である山南薫のかけらです
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