せぴあ色したおもちゃ箱 |
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みどり色のとき
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入梅に映えるはな
雨の雫を身籠って
まぁるく結実して
空の蒼さをうつす
風薫る五月は様々なニュースを吹き流し
五月雨が哀しみをぽとりと垂らす
滲んでいった誰かの想いを背負って
命にきりきり舞いしているときは
ライオンが行ったり来たりしている様子や
猿山の日常を眺めるよりは
動かない樹をじっくり観察するのがよい
さりとて、公園に行って緑の樹々を眺めても
さわさわと風に蠢く葉の音が煩くて
まるで汚職に塗れていく緑の実体を醸し出すよう
タイサンボクに咲き誇る顔よりも大きな白い花は
無念に散っていった命の残像なのかもしれない
そう、動物園も公園もいつもは
ほっと出来る憩いの場所なのに
なんだか落ち着かない
そんな時は
ガラスに囲われた無菌室みたいな植物園で
まるで関係ない熱帯のどぎつい花々を愛でたい
グリーンのバナナの房に一安心して
オオオニバスに乗りたかった小さかった夢を憶いたい
ねっとりした空気が撹拌されて
生きてさえいれば、めっけもん。
ほら、ぶくぶくと泡のような呟きが聴こえる
今、会いたい人がいます
否、ずっと会いたい人がいます
会えない時間が
愛、育てるのさ
と言う流行歌が
昔あったけど
これは
会えると言う確約があるから
成り立つもので
会えなければ、
いずれ消滅するのが
男女の仲だと思う
家族や友達は
会えなくなってもずっと
家族だし、友達なんだな
家と学校を道草しながら往復していた頃は
こんな生活から早く逃れたい一心で
自立ばかりに焦っていた
家から逃れたつもりでいても
又、新たな家を構築する為に
四苦八苦する毎日に
人生の不条理さ噛み締めながら
もう戻れない日々を懐かしむ
年に数回の近況報告や節目の音信に
会いたい気持ち倍増
それでも
人生も生活環境も
あまりにも違ってしまったのか
趣味も性格も考え方も
ちょっとずつ、ずれていたけど
根本の根っこのようなところで
自分の分身のような感じだった
社会に出てからも友達は出来たけど
十代のときの友達って
また特別な存在だよね
いずれ、また会いましょう
でいつも締めくくられる
あたしたちの手紙の束
今、会いたい人がいます
肌の表面から熱を奪ってしまう
チリチリと焦げ付くような視線が恋しい
ストーカーは勘弁だけど
犯罪一歩手前の絡み付く視線は、どこ?
釣った魚に餌はやらないのが信条の男ばかりで
まゆちゃんのおかあさんとか
けんちゃんのおかあさんとか
田中さんの奥さんと言う括りで呼ばれて
あたしの名前はどっかで空中分解されちゃった
ベターハーフなんて言う甘い呼び名で
家庭の礎のひとつに
ちゃっかり組み込まれてしまったから
雑用と言う役割をしっかり割り当てられた感じ
イベントを堪能するには
日常の合間に様々な事柄を周到に
自分で用意しておかないとだめで
ここで煩わしいと思っちゃうと
その行事が簡単に削除されてしまう
何かと不自由に命令されていたけれど
庇護されていたこどもだった時代が懐かしい
咲かせる事の出来なかった真っ白な夢の蕾を
胸の奥に幾輪もいだいて
日常に塗れ疲れ果て
砂漠化する毎日に
かわいていく
贅沢は言わない
ひび割れてしまいそうな時に
ほんのささいな一言で
しっとりと心が
とろけてしまう、そんな言葉がほしい
行ってきますのおざなりのキス
ありがとうってこの前、いつ言ったかな
積み木をバラ撒いたコンクリートジャングルには
ペ天使やダ天使を筆頭とした天使未満が
なぜか、ハムハム王子を創ろうと画策している
こどもはみんな
ハンカチ王子やハニカミ王子になるのに
どうもハミダシ王子やハズカシ王子へと
道を踏み外しているのか、
大団円への遠回りなのか
そういえば、プリンセスには
キュートなあだ名がつかないのは
どうしてなのかな
素敵に花々のように咲き誇っていた王子もプリンセスも
ふと、気がつくといつの間にか
狐と狸の化かし合いに参加していて
妖怪崩れの有象無象の狢もどきが
なんか、ようかい
なんて呟いているよう
人型の被り物は段々透明になって
塩ひとつまみで溶けてしまうのだろうな
えぇ、もう直きに、百物語たけなわの
暑い夏が幕を落とすはず
東京には空がない。
そんな事は
遠い昔のおはなしになってしまった
新都心でも今はやりの高層ビルディングも
空に浮かんでいるよう
眼下には千切って零した緑の森と
トミカの車が血脈のように動き回っている
この恋の賞味期限は後どの位残っているんだろう
色とりどりの遠い異国の料理が
処狭しと並ぶ小ぶりのテーブル
無骨な指が
エビをくるんと裸にしていく
さっきまで夏を先取りしたように
蒼い空を際立たせる真っ白な雲がもくもくと
ピクチャーウィンドゥを縁取っていたのに
どんな魂胆を隠し持っているのか
墨汁を零したような有様で
ひとつふたつと数えたくなる大粒の雨が降る
まるで初めて鍵盤に触れた子どものよう
たどたどしいリズムで
金魚鉢のような窓ガラスを打つ
無数のあなた、むすっとあなた
そこの穴はあなたの穴さ
穴のないあなた、穴ばかりのあなた
あなあなかしこ、あらかしこ
洗ったあなた、ずぶ濡れあなた
愛してあなた、言ってよあなた
あまたのあなた、あちらであなた
こちらのあなた、彼方であなた
鉈振るうあなた、菜っ葉刻むあなた
蒲田であなた、未だにあなた
ひそひそあなた、くすっとあなた
あなたのあだ名、アデな姿のあなた
アワやあなた、ひやっとあなた、ピッピッとね
有り難いあなた、ありきたりのあなた
きっとキリギリスのあなた、パッと見あなた
戸惑うあなた、絶対あなた、かりそめあなた
あたまもあなた、ズが高いあなた
すっ飛びあなた、かっ飛びあなた、蹴っ飛ばせあなた
うろんなあなた、うどん粉あなた
どっちのあなた、こっちのあなた、出てこいあなた
四捨五入であなた、いっぱいあなた、やっぱりあなた
踏みにじられても
次の日には
しゃんと
立ち直っている
引っこ抜いても
いつの間にか
また小さな双葉が
そんな雑草のような根性が欲しい
安らかに眠っていた牛が
Mooッと一声高らかに鳴いた
月には一文字足りないけれど
無知蒙昧で顔をまんまるに膨らませ
危険を回避する為に電化していく家の隣で
しれぇっと天然ガスを汲み上げている
安全は誰かがきっと考えているはずで
電力のほとんどを原子力に任せて
大丈夫じゃない気がしても
電気がない生活なんてもう考えられない
温泉場に行く余裕もないから
スパが満員通勤電車でいける場所にあれば便利なの
技術の進歩に知識が遅れをとって
危機一髪の綱渡り状態だったと
事故が起きてから認識する
コンクリートジャングルを司る神サンは
人様のすることに手が廻らずにむー。
よのなかは
ブラックに
ライトアップされて
結構姦しい
煌煌とライトアップされた日本の形が地球上から消えるには
未曾有のブラックアウトでも起こらないと考えられない
一面に
ほのぼのローカルニュースが
灯るのは
夢のまた夢
ようこそ いらっしゃいませ!!
こちらは管理及び著作権主張者である山南薫のかけらです
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