せぴあ色したおもちゃ箱 |
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Jack in the BOX
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いらっしゃいませ!!どうぞ、ゆっくりご賞味いただけたら幸いです
著作権は放棄していません。文章以外の挿絵 壁紙は素材サイト様のものです
秋はヤッパリ紅くなっていくもの
朝晩冷え込んでいくと色づいていく樹々
くれない日々がないように
くれない色を見つけるのは簡単かな
手のひらに虫の息
丸い黒曜石の瞳は虚ろ
彼の本文は
飛ぶ事ではなく
鳴ききる事だからか
若草色の翅脈を透かした羽は
すり切れる事もなく
黒い前胸に刻まれた金糸も鮮やかに
腹の手風琴も今はぴくりともしない
それは儚い 夏の似姿
そう、今年のすべき事は確かに終わり
季節の針が来年の夏真っ盛りを指すまで
サヨナラ、サヨナラ、サヨナラ
ニシン、来たかとカモメに問うように
オイルサーディンが食べたくなったら
三角横丁のタバコ屋のサッちゃん家で
店番をしているミケをたずねると良い
横丁小町のサッちゃんが
よちよちあるきのころに
やってきた三毛猫のミケ
毛並みは畳鰯で育ったから
未だにビュティコンテストで
優勝間違いない程つやつやだ
憧れのサッちゃんは
鰯雲が蒼い空に浮かぶ
明日の黄昏時になれば
あんちくしょうのお嫁さん
嫁入り道具には
三毛の曾孫の3匹の仔猫たち
今は毛糸玉のようだけど
すぐに
ひい婆ちゃまに負けない目利きになるだろう
合鍵は渡してあるけど
呼び鈴を絶対、鳴らして、ね
最高の笑顔でドアを開けたいから
電話はなくてもノープロブレム
いつだって待っているのは
あなたひとりだもん
冷蔵庫にはあなたの好きなものばかりだし
あ、でも電話をくれれば
あなたの大嫌いな納豆は隠しておけるかも
あなたが来るのが一番だから
空きっ腹の身ひとつで大丈夫
そう、でもいつかここから旅立ちたいとき
蒼い花束を忘れないで
言い訳なんか欲しくはない
いつものように過ごしたら
やっぱり、鍵は置いていって
わたしはあなたの居なくなったこの家で
花束みたいな蒼い海を憶うから
露草がぽつんと畦道に咲いておりました
宇宙まで大きく口を開けていそうな
高く澄み切った空に負けない
素敵な蒼い色
雨にも負けず
風にも負けず
道行く人を
ほっと和ませる可憐なけなげなお花
それでも
お日さまに焼かれた蝶が
水面を渡る時に味わうきらきらした涼しさを
そっと囁いていくと
いつか自分も
水面でたゆたってみたいと思う
ちっちゃな花でした
ばぁさま、知っとるけ?
ゆんべ、あの知事さぁ、んとこで
大立ち回りがあったんよ
知っとるも何も、あんた
村中大騒ぎで
駐在さんが猟友会に電話をするは
マタギの権蔵じいさんまで叩き起こすは
しまいにゃ県警本部長まで出庭ってくる騒ぎで
裏ん山さ、燃えちまうかと言うような明るさで
たいまつが夜遅うまで上を下への大賑わい
すったらこつ、何の騒ぎかと思うとったら
このコウコを持って、よねサァが教えてくれたわさ
でもなんもあんなに騒がんくても
ヤッパリ、外国まで勉強に行きなすったお人は
ここいら育ちのオラたちとは
オツムのできがちょっと変わっとりなさる
春先にうりんぼぅが畑に種蒔くと荒らしにきとったけ
ちんまいからほっとったこがおおきゅうなったようで
今晩、田子作んとこもボタン鍋だんべ
これで、ようく、若い皆ん衆に精がついて
ちょっとはこの村も賑やかになりゃ万々歳だぁね
そんで、知事さんの肝ももうちょこっと座りなすったら
言うこたぁ、何もないしのぅ
春まだ浅い朝に摘んできた
ルビー色の甘酸っぱい宝石
籠をいっぱいにするより先に
ちっちゃな指と口の周りを
真っ赤にしてた
そんな美味しい歓声に
真っ白な砂糖をたっぷりかぶせて
ホウロウのお鍋でコトコトクツクツ
大海原を紅く染める夕日のように
とろりとした色に煮詰めていく
出来上がった苺ジャムのつぶつぶを噛むと
懐かしさが口いっぱいに広がっていく
バタバタとした忙しい朝に
あの時の甘酸っぱい想いを
一口乗せて食べる幸せ
きっと今日も頑張れる、ね
寝坊して朝食を抜いて
飛び出していこうとするあいつの口にも
ギュッと詰め込んでやりましょう
コスモスがひっそり旅立つあたしに
手を振るように右に左に揺れている
大丈夫だよ
哀しみはあいよりも深いよるが
すっぽり包み込んでくれるから
ほら、あなたのおもひ出が紅く
あかく、大地までも染めていく
そんな夏を追い越していく息吹を
胸いっぱいに吸い込むと
濃密な甘い薫りがくすぐるよう
臆病なあたしの背を押すのかな
橙色の花を見つけるより先に
一番星が笑っている
東へと向かうこの汽車に乗って
誰よりも早く朝を見つけたら
また新しい一歩を踏み出せるはず
くっくぅ、くっくぅ、くるっく
かっこうどけいがときをつげる
くるっく、くるっく、くっくぅ
色づいていく、みどり
くっくぅ、くっくぅ、くるっく
深まりゆく季節に
くるっく、くるっく、くっくぅ
風は冷え込み
くっくぅ、くっくぅ、くるっく
樹々をあかく、あかく
くるっく、くるっく、くっくぅ
せき立てるように
くっくぅ、くっくぅ、くるっく
吹きすさぶ
くるっく、くるっく、くっくぅ
夜に暗転する前に
くっくぅ、くっくぅ、くるっく
夏の残り香を燃やし尽くして
くるっく、くるっく、くっくぅ
おやまに紅色を覚え込ませているのか
くっくぅ、くっくぅ、くるっく
夕焼けお空はまっかっか
ようこそ いらっしゃいませ!!
こちらは管理及び著作権主張者である山南薫のかけらです
興味が湧いたら 是非 別の箱もご覧ください(Jack in the BOXに置いてあります)
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