せぴあ色したおもちゃ箱 |
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Jack in the BOX
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暮れそうで暮れない黄昏時と呟く暇もなく
いつの間にかすみれ色
じっくり
と
ゆったり
と
間延びした
と
きを巻き取り
一日が静かに
暮れていく
出番を待ちかねた
まんまる
の
ほころび
が青白く
煌煌
と
神々しい
光
を
投げかけ
その眩しさ
に
圧倒されたように
田んぼを耕す
人
が居る町
と
人
が寄りかかって家が
積みあがっていく街も
闇に沈んでいくのを拒み
瞬き始めました
働き蟻の人々が
忙しく行き交う
毎日に
荷物を抱えて道に迷わぬように
道しるべを見失わぬように
探している何かが見つかるように
一人でも大丈夫だ
と
直ぐそばで笑っている顔が見えるように
たくさんのカルマが吐く息は
すり鉢のようなルールと言う壁に阻まれ
すり潰されて
はえ取り紙のような世の摂理に
吸収されても
温もりを感じてほしい
と
還るべきおうちが微笑んでおりました
空の際を白くフリンジしている
入道雲はあぐらをかいて居直っていた
緑はいつの間にか黄色のまだら模様で
青の侵入を緩やかに許している
落ち葉の中カマキリはちゃっかり枯れ葉色
こちらの様子をギロっと睨み
ギンナンは黄金の滴りの重さに耐えかね
風が吹く前にひっそりと零れていく
秋の虫を踏みにじるように
寝坊した蝉が言い訳を呟いていて
見上げる空は低い
お〜い、雲
もう神無月だって知っているのかい
時は誰よりも勤勉なのにミスリードする私たちと一緒に
季節をどこかで迷子にしたことは確かである
かみさんと一緒に出雲大社にでも引き籠ってしまったのだろうか
躊躇を引き裂くように20トントラックが南から北へと疾走し
夏と秋の混声二部合唱はまだまだ続く
つるべ落としの夕暮れが
立ち尽くす人の上を
群青に染め上げていく
笑ったような月が
ヴィーナスを従えて
ゆっくりと
空にかかる
そして
青白い光が
窓辺で
謳っている
夜が溶け出すと
無限が
大きな口を
開けていた
ほんの少し羽を伸ばした
世界は
昼よりも大きい
家を飛び出たとき
こっそり タッパーに入れて
持ってきたの
毎日手塩にかけて掻き混ぜて
泪も汗もいい塩梅に混ざり合い
父と喧嘩をしても必ず
母は
台所でぶつぶつ罵りながら
一心不乱に掻き混ぜていた
食卓には欠かさず香の物
一人分のお漬け物ならスーパーが
絶対安上がりに決まっている
大好物ではないはずなのに
怒っていた母の背中が
チンと収まっていく不思議
糠の冷たさと暖かさは
幼稚園のときの粘土細工に似ていた
出来上がるものは象の置物ではなく
シャッキっとした歯触りの粋なキュウリ
けっこう美味しい
そう、うちの冷蔵庫には
代々綿々と続いてきた
不満と怨念でぐつぐつスープな
糠床が
ちんまり居座っている
秋桜が
風に
揺れている
僕は
探していました
ひっそりと
乗り越してしまった
最終電車の
裏寂れた駅舎の
ベンチで
夏を
追い越していく
秋の息吹を
空が
大地に
親しみにくるようで
薄紅の宇宙が
笑っている
黄金のモクセイ
銀のモクセイ
濃密な甘さで
世の中を
ケムに巻く
この時期
木星は
大盤振る舞いで
咲き誇り
昼と夜を
程よくブレンドして
秋は始まる
取り扱いには重々御注意ください
優しそうな顔をしている言葉は曲者だ
天使の振りをしてそっと忍び込んでくると
仮面を脱ぎ捨てて悪魔に早変わり
シュガーコートされた落とし穴にしっかり足を取られ
骨の髄迄血を吸われても
甘い言葉にとろけきったあたしは
気づかぬうちにいつの間にか消去されている
言葉と言葉の間の底なし沼に魅入られてはいけません
あなたからあたしへの情報伝達は
片手間の善意と
ちっぽけな思いやりと
ほんのひと匙の誠意の上に
危うく成立していると信じております
コンクリートジャングルを
見下ろす
蒼い空に
真っ白な
ぽわぽわ羊が
たゆたっている
壊れてしまった
レコード盤のような
日常に
膿んで
見上げる空は
高い
鋼鉄の
レールの
向こうには
紺碧の海
砕け散る波は
やがて雨音と
リンクする
心地よい
雨だれに
身を任せ
遥か彼方の
追憶が
呼ぶ
この乾きから
逃れる為
水に
攫われるのは
いつの日なの
ヘドロ化した日常に膿んで見上げる
ちっぽけなあたしから ぽとんと散った恋心
真っ青な空に溶けて行く
なんだかとっても用意周到
風が吹く度にチラハラハラリと散って行かず
樹の上に頑固に留まっている
陽射しはまだ強い
中途半端だった洋服ダンスも
いつの間にか
くすんだ色調のスーツが並ぶ
元羊だったカーディガンを畳み
かつてペットボトルのフリースに袖を通す
温もりに肌を合わせるよりも
クマになって冬眠がしたい
あなたのふるさとはどこですか
ふるさとは遥か遠くでほのかに憶うのが
かっこいいと信じていますか
あたしの生まれた場所はここ
命を満々に讃えた水と緑の地球です
宇宙旅行には憧れる
でも
あたしはここで根を生やしていたい
空中遊泳にも触手が動く
だけど
あたしは野に咲く花とともに
ここに静かに葬られたい
あ、魚と一緒に海のトリトンを探しに行ってもいいな
おそらが あんまり たかく あおく すみきってくると
紅い風船が恋しくなる
ふわふわひらりと風にのり
羊の群れを追い駆けたい
ふたりでそぞろ歩いたよみせの
くじ引きでもらった紙風船に
くちびる よせた
想いの丈をポンとおそらに 放しても
掌に ぽとんと舞い落ちる ポン
まいや ひぃ ふぅ みぃ よぅ
いつ むぅ なな やぁ
ここのつの とうで ほっほぅ
その繰り返し
決しておそらに ふわりと舞い上がる事はない
おかしくれなきゃ いたずらしちゃうぞ
卯月の第一日曜日に始まった夏時間が
神無月の最後の日曜日に
静かに幕を閉じようとしている
日本ではまだ夏時間と言う
エネルギー節減の風習はない
昼夜を問わず
世界規模の市場で
様々な取引が行われる昨今
一時間の時間の移送は
僅かな歪みと影響を及ぼしている
ろくろく首やお岩さん おんぶおばけに
唐傘お化け 一つ目小僧達 夏の妖怪は
なんかようかいと呟きながら
丑三つ時の彼方へ追いやられ
フランケン博士 ドラキュラ伯爵
狼男 魔女にハリーポッターが
カボチャ大王に連れられて
a witch do you likeと
こじゃれた事を宣って遊びにいらっしゃる
東西の化け物共が右往左往しながら
暗中闊歩する今月最後の日の為に
どうも四季折々の風情とともに秋を
どこかに隠す悪戯が行われたようで
一体、誰がこの大々的な奇術をしたのか
街雀の間では姦しく取りざたされている
他所の国にいらないお節介を焼いて
自分のお国の一大事に間に合わなかったように
お菓子を渡す人を間違えちゃったのは確かである
ようこそ いらっしゃいませ!!
こちらは管理及び著作権主張者である山南薫のかけらです
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